沙苗はぶーぶー文句を言っているが、捧げ者に選ばれるなんて…俺は羨ましくて仕方がなかった。

俺は、小さい頃からこの村の伝統的な祭り、紅祭りが大好きだった。


しかし、儀式の捧げ者に選ばれるのは女だけ。

俺は決して捧げ者に選ばれることはないのだ。


「せっかく選ばれたんだから、ちゃんと儀式しろよな」


俺がそう言っても、沙苗は文句をやめなかった。

そんな沙苗を無視して母さんは、捧げ者用にちょうどいい白い服をどこにやっただろうかと言って、納戸へ行った。


「マジで…。

本当にやらなくちゃいけないの…。

はぁ…」


沙苗は憂鬱そうにため息をついた。