段々体力もなくなってきた。

奴は、まだ追いかけてくる。


「はっ、はっ…あっ!!」


私は、派手に転んでしまった。


私に追いついた奴は、私の髪をきつく掴んだ。


「うっ…!!離してっ!

離してよっ…!!」


じたばた動いて抵抗するが、奴は離してはくれない。

こんなに近くにいるのに、フードを被ってマスクをつけた奴の表情は暗くてわからない。

奴が、ナイフを私に向けた。


私は、手に握りしめていた短刀の存在を思い出した。

これで…!


私は、今までずっと伸ばしてきた長い髪を、短刀で切った。

奴が驚いたすきに、私は奴と距離をとった。


奴は、切られた私の髪の残骸と私の顔を交互に見る。


「ねえ、どうして」


私は、奴に言った。


「どうして、みんなを、麗香達を殺したの…。

ねえ、総司」