『じゃあ今からそっち行く』

「うん、じゃあまた」


そう言って、私は電話を切った。

よかった、総司から本を借りられる。

私は、安堵の息を漏らした。


私の家から総司の家までは、そう遠くない。

十五分もすれば着くだろう。


総司が来るまでの間、私はずっと部屋の時計を眺めていた。


…十五分が経った。

総司はまだ来ない。

どうしてだろう…何かトラブルにでも巻き込まれたのか?


不安な気持ちが芽生えてくる。

いや、もう少し待っていよう。


そして三十分が過ぎた。

遅い。

いくらなんでも、遅すぎる。


私は、総司に電話をかけようとした。

そのとき、タイミングよく総司から電話がかかってきた。


「ちょっと総司?

どうしてまだ来ないの?

何かあったの?」

『…ああ』


携帯の向こうから、総司の暗い返事が聞こえてきた。