暮れない夜、染まる紅(あか)

定期的に手入れでもされているのか、部屋がボロボロなのに比べて、像はかなり綺麗な状態だ。

私はクレナイサマの像を、ベタベタ素手て触りまくる。

普通の村人なら祟りを恐れてこんな風に触らないのだろうが、祟りは人間の仕業だと知っている私には関係ない。


「あれ…」


私は、あることに気づいた。


「この短刀…。

本物だ…!」


この前来たときは夜だったので気づかなかったが、クレナイサマが握っている短刀は本物の短刀。

これもかなり手入れされているのだろうか。

まだ使えそうだ。


そのとき。


ギッギッギッ…。


誰かが近づいてくる足音がした。

私は、咄嗟に像の後ろに隠れた。


「…誰もいない?

物音がしたと思ったんだが…。

ネズミか何かだったか?」


この声は…神主さんだ。

神主さんは部屋の中を少し覗いただけで、すぐにどこかへ行った。