『なんてこと…!』

「だけど、麗香は殺されてしまいました。

私は、麗香を殺した奴を見たんです。

顔は、夜だったのと、パーカーを被ってそのうえマスクをつけていたので、わかりませんでしたが…。


だから、これはクレナイサマの祟りなんかじゃない。

でも、去年のお祭りと何か関係があると思うんです。

おばさん、去年の儀式で何かあったか、沙苗ちゃんから聞いていませんか?」

『…い』

「え?

すみません、よく聞こえませんでした。

もう一度…」

『知らないって言ってるのよ!!』


受話器の向こうから、おばさんが怒鳴る。

普段は普通に優しい人で、怒ったところなんて一度も見たことがないので、私は驚いた。

そのまま、電話を切られてしまった。


「…」


私は、受話器を見つめた。

あの同様の仕方…。

きっとおばさんは、何か知っているに違いない。

しかし、おばさんを怒らせてしまった。

もう、おばさんから聞き出すことは難しいだろう。