「はい。

それより、沙苗ちゃんに聞きたいことがあって…」

『沙苗に、聞きたいこと?』

「ええ。

今、沙苗ちゃん家にいますか?」


しばらく間を空けて、総司のお母さんが答える。


『…ごめんなさい、今いないの』


え?

沙苗ちゃんがいない?

学校にも来ないから、てっきり家でいつもひきこもっているものと思っていたのに。


「そうですか…。

じゃあ、あの、総司はいますか?」

『総司なら、今出てるけど』


総司のお母さんは、沙苗ちゃんのときと比べ、間を空けずに答えた。


「そうなんですか…。

じゃあ、おばさんに聞いてもいいですか?」


本当は沙苗ちゃんから聞きたかったけれど、私はお母さんから話を聞くことにした。


『まあ、私に答えられることなら…』