「うっ…うっ…」


お母さんは嗚咽を漏らしながら、お父さんは背中を震わせながら、泣いていた。


「お父さん…?お母さん…?」

なんで、泣いているの?

「さっき、天宮さんと神社の神主さんが訪ねてきたんだ」


お父さんが、震える声で語り始めた。


「三里を、次の紅祭りの捧げ者にするって…」


え…。

私が、捧げ者…?


「なんで…」


一瞬、何が何だかわからなかった。

私が捧げ者に選ばれた?

そんなバカな。

だって、私は他の捧げ者に選ばれた子達のように優れた容姿をしているわけではない。

なのに、何故?


「あ…」


思い当たるところがあった。