私は、笑った。

とても久しぶりに、声を出して笑った。


こんなに笑ったのは、いつぶりだろうか…。


「つかさ、こんなに暑いのになんで髪伸ばしてるんだよ。

見ていてこっちまで暑くなる」


そう言って、総司は私の髪を触る。

私の髪は、背中まで真っ直ぐ伸びたロングストレートだ。


「いいじゃない、別に」

「なんか理由でもあんの?」

「ないよ。

なんとなくなだけ」

「ふぅん…。

なんか妖怪みたいで気持ち悪いぞ、見た目」

「何よ!」


「やっと、怒った」


総司が、笑う。


「いつもの調子出たみたいでよかった」


総司…。

私を元気づけるために、わざわざたずねてきてくれたんだ…。

それなのに、私は総司に帰ってもらおうとしていた。

なんだか、申し訳ない気持ちになる。

それに、麗香が好きだった総司とこうして話しているのも、麗香に申し訳ない気がする。