薮の中、私達は走る。

ザッ、ザッ、ザッ。

ザッ、ザッ、ザッ。

ザッ、ザッ、ザッ。


「ねえ」


麗香が話しかける。


「なんか、おかしくない?」

「え?」

「足音が増えてる…気が…」

「……え」


そう言われて、私は振り返ってみる。

暗くてあまりよくは見えない。

でも、確かに誰かが後ろにいるのを確認した。


「まさか…」


クレナイサマ!?

いや、違う!


明らかに、パーカーのフード的なものを被り、マスクをして顔を隠している。

村の神であるクレナイサマが、こんなよくいる現代人のような格好をするとは到底思えない。

クレナイサマなんかじゃない、人間だ!

やはり、祟りは人間が行っていたんだ!