家に帰った。

麗香とはもう、会えない。

きっと、今までの捧げ者のように、殺されてしまう。


『死にたくない』


最後に麗香が呟いていたのを思い出す。

麗香は、今までそんなことは一言も言わなかった。

きっと、私達が心配しないように、言わなかったのだろう。


ずっと、隠していたんだ…。

麗香の、本音を……。


どうして、もっと逃げるように説得しなかったのだろう。

家族が村八分にされるなんて、どうでもいいじゃないか。

それが嫌なら、家族と逃げればいい。


友達である私も村八分にするぞと脅されていたらしいけれど、私は麗香が無事なら、何をされたっていい…!


そのことを、どうして儀式が始まる前に麗香に伝えなかったのだろう。


後悔ばかりが押し寄せてくる。