―――聞こえたんだ。ピアノの声が。 合唱が盛んな訳でも、オケがある訳でもない平凡な高校。 いつしか、感情を込めた演奏をする人間はいなくなった。 音楽は、言葉に表し切れない感情を表現してくれる。 このピアノは、あふれる感情を待っていたんだ。 だから僕は、この演奏を機に、 過去を捨てる。