「綾乃、綾乃にまだ話してなかったことがある。俺は革製品ブランドのビアージュの社長で、フランスではもう最近は大したことないけど侯爵位のある家の出身なんだよ。」


「今の時代には爵位なんて対して意味を持たないけどいまだに社交界はあるし、その付き合いもある。ちょっと堅苦しいかもしれないけど、そこは気にせず出来れば俺と結婚してほしい。」

えっと、今でこそ重要視はされないけど、時代が時代なら貴族ってことだよね?
古くからあるお家で侯爵位ともなれば遡ればどっかのしらの王室と繋がりのあるお家だよね。

ええぇぇ!!!!


そんな所に日本の庶民が嫁いで良いんだろうか…
激しく不安だ。

「綾乃?お願いだからこっち見て?」


顔を上げると私以上に不安そうなシャルがいる。

「爵位はあるし、昔からの城やら別荘もあるけど。それ位で私の父はただの大学教授だし、母はピアノ講師をのんびりして過ごしているような。一般的な生活をしてるよ。だから何も気にせず嫁いでほしい。」

いやはや、それすら格式高めで優雅ですよ!


「綾乃の事は両親に話してるよ。今まで散々縁談を断ってきた俺が結婚したい人と出会った認めてくれって言ったら一も二もなく認めてくれたよ。」

「綾乃、家のことはこの際とっぱらって俺個人とは結婚したいと思う?」

「シャルの事は大好きだよ。出来たらこの先ずっと一緒に居たいと思ってる。」