その証拠を見て山本社長は頭を下げた。

「クラーク氏、大変ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした。2度と娘は近づけませんのでどうか穏便にお願いします。」


「プライバシーの侵害、ストーカー規制法違反、個人情報保護法違反にそれに伴う精神的苦痛。全てクラーク氏とその婚約者にされた行為になります。穏便にという事は和解を御希望という事で宜しいですか?」


そうケントが聞くと

「はい。取り引きが見込めないのも承知しております。こちらの不徳の致す所です。大変申し訳なかった。娘は明日のうちにアメリカ支社に転属させますので。物理的に接触出来ないように致します。また、日本とヨーロッパには行かせませんので。監視もつけておきますので。」

そう言って頭を下げる社長。

やはり会社の舵取りをするだけあり、判断力も行動力もあったか。

「えぇ、そのような対処をして下さるのであればこちらも訴訟までは致しません。では後はうちの弁護士と確認の上書面に同意頂ければサインしていただいてこの件は終わりと致しましょう。」


そう言うと息を吐きだし、書面の確認をし始めた。


「これでお許し頂けるのであれば、承知致しました。」

そうして向こうも弁護士を呼んでいたらしく書面を確認し弁護士として問題がないと社長にも伝えられ書面にサインされた。