そうして担当者と話しつつコーヒーを飲んでいると担当者がビックする事を言った。

『お嬢さんとお揃いで指輪をしているなんてお2人は結婚間近なお付き合いなのですか?』


驚いて山本さんの指を見ると俺が綾乃に贈って揃えたペアリングの片割れと同じ物を身につけている。
気づかなかった。
この女外堀から埋めてくつもりか、ふざけやがって。

「もしかしてあの日ずっと跡をつけてらしたんですか?それともお店の店員さんを脅してお客である俺達の個人情報を流させましたか?どちらにせよやってはいけないことをしてますね?弁護士を用意します。こちらとの取り引き考え直そうかと思った事がやはり間違いだったようだ。こんな問題のある社員を抱えた御社とは取引しない。」


そう言った矢先

「綾乃、行くわよ!」


思わぬ名前が耳に入ってきた。

ビックリしてそちらを向くととても顔色を悪くした綾乃が彼女の友人らしき女性に手を引かれて出ていく所だった。

山本さんを見ると挑戦的な顔で微笑んでいる。


まさか綾乃まで巻き込んでいるとは思わず。
自分の対処の遅さに舌打ちしてしまう。


とにかく綾乃の誤解を解かなければ。


急いで追いかけると綾乃とその友人は迎えに来たらしき車に乗って走りだす所だった。

間に合わなかった。

その事に愕然とする。

大切な綾乃にあんな顔をさせてしまった。

その事が深く突き刺さるも、何故だ?
ここに綾乃が居たのは偶然ではないならば・・・


そう考えつくとまた店に戻った。
どこまでも勘違いして突き進むお嬢さんの山本さんにハッキリさせるために。