私の顔色がみるみる悪くなるのをみて菜乃花が驚いている。

「ちょっと、どうしたのよ綾乃!」

「静かにして?あっちにシャルが居るけど。仕事関係の人と一緒だから邪魔したくなくて。」


そう言うと菜乃花は何かを察したのか

「綾乃、何かあったね?女が居るの?もしかして浮気?二股?」

「分からないけどお店に入ってくる時点で腕組んでて、彼女の左手薬指にも同じ指輪があるの。」

そう俯きながら伝えると。

「私がトイレ行きがてら見てきてあげるから少し待ってなさい。良いわね?」

「うん、分かった。ごめんね、菜乃花。」

そう言う私の顔は余程酷かったのか

私の頭を撫でながら菜乃花が言う。
「見てきたらすぐ、お店出よう?秋臣さんに迎えに来てもらうから。あんたその顔で電車乗ったら倒れそうだもの。」

「ごめんね。」

そう俯くと


「とにかく見てくるから、デザート食べてなさい。」


そう言ってお手洗いに行く菜乃花。