そうして向き合った俺の表情に驚く彼女。

無理もない。
今までは一応取り繕って愛想良く相手をしていたのでシビアで冷めた俺の顔は見せた事は無いからだ。


そして彼女は一応賢いのだろう、その表情からかなり不味い事をしたと理解したらしい。

「確かに今回は仕事もあって来日していますが今日は完全なプライベートだったんですよ。今回はバケーションを兼ねても来日していますので。」

そうハッキリと告げると彼女は笑みを浮べてこう言った


「それは失礼致しました。今回もしスケジュールに空きがございましたらぜひ我社ともお話頂ければ幸いです。」


そう言われるも彼女とのやり取りのせいでせっかくの綾乃との時間が削られたのは頂けない。
そもそもこれからランチをしようと話していたのに。

「今回はスケジュールがいっぱいなんですよ。それに空いていたとしても御社とはお話しはしませんね。プライベートなのが明らかにわかる相手に仕事の話を持ち込むようなTPOが分からない人のいる会社とは取引したくないので。」


そう、ハッキリあなたもあなたの会社にも興味も深く関わるつもりも無い事を告げる。


その俺のハッキリとした態度に今度こそ顔色を変える彼女。

彼女の言う我社は彼女の父親が社長であるのだ。

元々多少の縁はあったので今回もしも時間が出来たらと彼女に聞かれる前からアポイントの申請はあったが、この出来事によりアポイントは拒否の方向だ。