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 勢い良く上半身を起こし、目を見開く。体は汗で全身濡れていた。荒い呼吸とは逆に、気を鎮めようと努めている。


 なんだあれは! 今のは…夢?


 リアルな錯覚に現実が掴めないでいた。

 そこは間違い無く、何時も過ごしている彼の見慣れた部屋だった。ベッドの上に屈み込み、乱れた布団が今にも床へずり落ちそうだ。夢だと判っていても、あまりの恐怖だった為、気を緩ませる事が出来ない。


 不吉な…。誰かに狙われている?


 今、見た夢の持つ意味を考えようとするが、脳裏にある映像を思い浮かべる事を恐れて、心がそれを拒否した。

 疲労が漂うその顔の、こめかみから流れ落ちる汗を拭った。