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 その手には、冷ややかな銀色の光を放つ、冴々とした鋼を握っていた。それを両手で絞るように持ち替え、小さな音を発てたかと思うと、素早く振り翳して、一気に叩き込んだ。

 その反動で、月に照らされた艷やかな癖の無い髪が、サラリと揺れ動く。

 目の前の、二つに切り裂かれたその物体からは、勢い良く灰が飛沫を上げる。瞬間、その全てが弾けるように塵となり、軈て風に攫われて行くのだった。