なんて言えたらどれだけ楽しいだろうか。

今の私には自分の足で歩くことも出来ない。

もちろん学校なんか行けるはずない。

昔から病院の中にいたら、妄想ばかり上手くなっていく。

病気が治る気配もなし。

高校生になっても院内学級か…

笑いながら歩いていく女子高生を窓ごしから眺めていた。

月「いいな。私もあの子達みたいに…」
トントン

看「おはよう。調子はいかがですか?」

看護師さんが入ってきた。

月「いつもどうりです。」

この会話、何回目だろう。

看「体温計置いていきますね。」

月「はーい」

暇だ。とりあえず、体温計ったけどいつもどうりだし。

そろそろ退院してもいいじゃん。

今日は先生が来るの遅い。

おかしいな。いつもならもう来てるのに。

おじいちゃん先生だし仕方ないか。
トントン

先「おはよう。月菜ちゃん」

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『風早 月菜(カゼハヤ ヒナノ)高1』
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月「おはようございます。」

先生が入ってきた。

先「今日は、紹介する人が居るんだ。」

誰だろう?

先「もうすぐしたら来るよ。」

正直誰でもいい。

どうせ後少ししか生きれない。

今さら誰かに会ったとしてもその人と仲良くなりたいなんて考えない。
トントン

?「失礼します。」

若い男の人だ。

白衣を着ているから先生かな?

きっと新しい先生だ。

ここの先生は全員覚えてる。

この先生は今日来たばかりなのかな?

?「おはようございます。月菜ちゃん。今日から月菜ちゃんの主治医になりました。高橋 虹希(タカハシ コウキ)と申します。」

あぁ。なんだ主治医変わるんだ。

別に主治医が変わったとこで何も変わることなんてない。

どうせ後少しなんだ。

虹「熱はないね。良かった。」

そう言って微笑んできた。

人の笑顔は苦手だ。

なんだか、イライラしてきた。

月「もういいですか?私勉強しないといけないんで。」

なんか追い出したかった。

勉強なんてしても意味ないのに。

虹「勉強熱心なんだね。偉いね。」

そう言って頭を撫でてきた。

鬱陶しい。

絶対、小さい子扱いしてる。

月「高校生なので。当たり前です。」

虹「そっか。邪魔してごめんな。」

ちょっと冷たく言ったら静かになった。

ノートを開いて練習問題を解き始めた。

高橋先生は病室から出ていかないでこっちを見ている。

月「なんですか?」

虹「ここ。」

そう言ってノートを指してきた。

虹「間違ってる。」

月「ほんとだ。」

消しゴムで消している時、高橋先生が話しかけてきた。

虹「これって中2の問題だよね。」

そこには触れて欲しくなかった。

月「そうですけどなにか?」

虹「月菜ちゃんって今高1だよね。」

月「はい。」

虹「そっか…やっぱり遅れてるんだね。」

やっぱりって…

月「おかしいですか?病院にいる子なんてそんな子ばっかりですよ?」

虹「ごめんね。良かったらだけど俺が教えようか?」

月「いえ、結構です。それに私に勉強教えても意味ないですよ。すぐに亡くなる命なんだから」

勉強なんてする意味無いんだ。

虹「そんな事言わないでよ。それに月菜ちゃんと同じ病気でも頑張って生きてる人は居るんだよ。だから月菜ちゃんも頑張ろうよ!」

月「そんな簡単に頑張れなんて言わないで!私に出来ることはもう無いの!死ぬしかないの。」

虹「そんな事言ったら、ご両親が悲しむよ!」

あっなんだこの人私の事なんにも知らないんだ。

月「悲しむわけないよ…」

当たり前だ。むしろ喜ぶよ。こんな私

虹「どうして!大事な子供なんだから悲しむに決まってるでしょ!」

ほんと何も分かってない。

月「もういいですか?これ以上貴方といたらしんどくなる。」

そう言って病室から出た。

後ろでガヤガヤ言ってる奴をほっといて…