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「祐実!」
アパートの階段を降りてすぐ、馴染みの声が私の名前を呼んだ。
正直、今会うのは避けたかったな。
家にはまだ、松下くんがいるんだもん。
「お、おはよう大貴」
「おぉ、はよ。勉強したかー?」
「大貴がうるさいからしましたよ〜」
「おじさんに言われてるからな〜祐実の子守はよろしくって」
子守って…赤ちゃんじゃないんだから…。
「ほんっと、パパ大げさなんだよな…」
「大げさじゃねーよ。祐実、ほんっと危なっかしいしいつか転ぶんじゃないかってヒヤヒヤで大変だよ」
「えーそうかな?」
「そうだろ。この間だって…」
「ん?」
「…いや」
大貴は口ごもってから頭を掻く。
「男って何考えてるかわかんねーからさ、気をつけたほうがいいよ」
「えっ…」
大貴はそれ以上は何も言わないで、ただ黙って私の隣を歩いた。



