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そしてやってきたテスト当日の朝。
「なんでカツ丼じゃないの」
朝ごはんの食パンを目の前にして、松下くんがまたアホなことを抜かしてきた。
「は?」
「今日テストだよ?テストに勝つ!ほら!かつ!カツ!カツ丼!」
目をキラキラさせてそう言う松下くんは、さすが赤点王子だ、と感心するようなセリフを吐いた。
「松下くん、朝から脂っこいもの食べたら絶対お腹壊しちゃいそうな顔してるし」
「人を見た目で判断するなよ、祐実のくせに」
「何その言い草。テストで100点とったらステーキでもなんでも作ってあげるよ」
私がドヤ顔でそう言うと、松下くんがちょっと悔しそうな顔をした。
あぁ、顔がかっこいいからそんな顔されると、こっちが悪者みたいでなんか嫌な気分になるじゃないの。
でもこれが松下くんのやり方で、自分がイケメンなのも十分自覚しているんだ。
「頑張ってよっ」
私は松下くんの肩をトンと軽く叩いた。



