「……だから、これはこうなる」
ノートに答えを書いて、向かいに座る松下くんに見せる。
「うん。全然わからない」
「はい?!ふざけないでよ!」
「ふざけてない。祐実の教え方にも問題あるんじゃない?」
「ったくもう!松下くんね、教えてもらってその態度はひど………え、なんで」
松下くんを叱ろうとした私の声は、彼の理解不能な行動にまたもやかき消される。
「ん?何が?」
「何がって…」
松下くんは突然立ち上がると、私の正面にあった体を今、私のすぐ横に持ってきて座ってる。
なんのつもりよ…。
「この方が効率いいかなって。祐実、文字書きにくそうだったし」
…え?
松下くんの口から意外な言葉が出たので固まってしまう。
ノートを松下くんの方に向けたまま、書き込んでいたから、上から書くのはちょっと書きにくかったけど…。
「西村先生。改めてよろしくお願いします」
松下くんはそう言いながら私の肩に頭を置いた。
いや、全然教わる気ゼロじゃない。
肩に松下くんの熱を感じながら、若干ドキドキしつつ私は松下くんへの勉強会を再開した。



