「じゃあとりあえず数学から…」
「…うっ」
えっ…
松下くんの見ていたのが数学の教科書だったので、まず数学からやろうと提案すると、彼が突然テーブルに顔を置いた。
「松下くん…」
「あぁ、やっぱり無理みたい。俺、勉強しようとすると気分悪くなるんだよ。あ、頭も痛くなって来た…お腹も…」
「お菓子の食べ過ぎなんじゃないの?」
見え透いた嘘をつく松下くんに冷たくそういう。
「…ひどい、ひどすぎる。悪魔だ。最低すぎる。本当に気分が悪くなるっていうのに…」
どう見ても途端にバレバレの嘘泣き演技をしてる彼を冷たい目で見つめる。
「いい?松下くん、一枚でも赤点とったら留年だって香山先生に言われたんだよね?留年になるってことは、もう一回2年生するってことで今の1年生と同級生になるってことなんだよ?」
「…んー」
どうして、そんな状況で呑気で居られるのよ…。



