ドスドスと聞こえそうな足音で彼の方へ向かい、彼を目の前に私は腕を組む。


朝の行動といい、今の態度といい!

許せない!!!


「私のポテチ勝手に食べないでよ!」



「…?」


片手にポテチの袋を持ってその中にもう一つの手を入れてる松下くんは「なんのこと?」なんてしらばっくれた顔をしてる。



これは松下くんの得意な顔だ。


でも、もう騙されないし、その綺麗な顔に負けたりもしないんだから!



「それ!あっちの棚に隠してたやつでしょ?」


お風呂上がった後にテレビを見ながら食べる至福の時間のためのものなのに!!


まぁ、松下くんが来てからそんな時間なんてないのだけれど…。


それでも!!人のものを勝手に食べるなんて信じられない!!


「…早く返し────」


「食べる?」


松下くんはポテチの袋の開いた部分を私の方に向けてそう言った。



食べる?って…。



すぐ目の前では、美味しそうな音がずっと響いてる…。



うぅ…。


「…うん」


私はそう言って、袋の中に手を入れた。



あぁ、やっぱり調子狂っちゃう。


松下くんと話すと、まるで魔法にかかったみたいに怒れなくなるんだ。



─────パリッ


あぁ、久しぶりのポテチはやっぱり美味しくて、よくわからないイライラをさらに沈めてくれた。



「うまいね」


目の前で寝転がる松下くんがそう言って、薄く笑うので。



その優しい顔に、私の胸はまたキュンとした。