ねぇ、松下くん。
初めはあなたのことが大嫌いだったよ。
失礼でマイペースで。
拗ねるとめんどくさいし、甘えだすと長いし。
だけど、
ご飯を美味しそうに食べる姿とか
意外とすぐ余裕がなくなっちゃうところとか
みんなが知らないあなたを見れてすごく楽しかった。
「…2ヶ月前の私なら考えられない」
「んー?学年一位のイケメンとお風呂に入ってること?」
後ろに座る松下くんがそう言いながら私を抱きしめる。
「言わないで!わざわざ言わないで!」
「恥ずかしがってる祐実、ちょー好き」
「でもまぁ、大貴とは小4までお風呂入ってたし、思ったより抵抗は」
「溺れさせるよ?」
松下くんは私の頭を捕まえてそういう。
「あーあ。あいつも祐実の裸見てたのかと思うと腹立つな〜」
「裸って…」
「でもあいつは知らないもんな」
「…え?」
「祐実があんな声だすくらい大人になったとか」
っ?!
「だからわざわざ口に出さないでよ!」
「いいじゃん。俺しか聞いてる人いないよ?」
「もう…松下くんのバカ」
「それはこっちのセリフだから」
っ?!
松下くんはそう言ってから、私の顔まで自分の顔を近づけてから、私の顎を自分の方に向けた。
「……っ」
ピチャピチャと響く水音と、私と松下くん2人の吐息は、
またお互いを狂わせて
「ねぇ、祐実。今日の夕飯なに?」
うっ。
今聞くかな…。
松下くんのマイペースなのはずっと変わらない。
これからもずっと、
変わらない私たちでいれたらいいな。
「ハンバーグだよ」
私はそう言って、松下くんの首に腕を回してキスをした。
──END──



