軽く手を振って屋上を出ようとした時。
「それがねー…」
まだ喋り出すあっこちゃんの声に足を止める。
「祐実知らなかったみたいなの。松下くんが体育の授業受けない理由」
っ?!
「な、なんの話?」
まさか彼女からそんなことを言われるなんて思っていなくて、声がうわずる。
「しらばっくれないでよ〜。私これでも運動得意な方で、帰宅部だけど陸上大会にもよく特別に出してもらってるの〜だから体育の貝原先生とも仲良いんだ〜だから知ってるよ?」
っ?!
不敵な笑みを浮かべるあっこちゃんに背筋がゾクッとする。
こんなところに…俺の弱みを握ってる奴がいたとは…。
だからか…。
この人は俺に全く興味がなかったし、森川のこともあって若干嫌ってもいる。



