ガタッ


松下くんが突然席から立ち上がって、美女の方へ歩み寄る。


「そう。ただのクラスメイト───」


松下くんはそういうと、今度は彼女の耳に口を近づけてから、耳打ちで何か言いだした。



その光景を黙ってみてる私には、松下くんがどんなことを言ったのか聞こえない。



「まぁ、そういうことだからさ」


「うん。ごめんね、邪魔しちゃって」


希和さんという人は、そう言って私たちに会釈すると、スタスタと友達の待つ席へと消えて行った。



なんだろう…すごく胸がざわざわする。



「…松下くん、今のって」


どんな言葉が返ってくるのかは大体予想できている。



「…昔、俺が好きだった人」



彼が切なそうにそういった瞬間


胸が締め付けられる感じがして、

ワンピースをギュッと握りしめた。