「うるさいよ」


「…うるさいって」


いちいちひどいよな…。


「だからー…付いてきてくれたお礼」


「お礼って…今日は松下くんの赤点回避ご褒美企画でしょ?」


私のほうが楽しんじゃってる感じがするけど…。


「あーじゃあ…毎日ご飯美味しいからご褒美。お腹すいたから早く行くよ」



じゃあって…。



松下くんは不機嫌な声でそういい、私の手を再度繋ぎ直してから歩き出した。



照れ…隠し…なのかな?


お礼…か。


可愛いところあるじゃん、松下くん。



「フフッ!ありがとうっ!松下くん!」


彼の背中にそう言って声をかける。




「……ほんっと、バカ。気付けよ」



前を歩く彼がそんなことを言っていたなんてこの時の私には聞こえていなかったんだ。