「それとも何、やっぱりあの居眠り王子がいいわけ?」


っ?!


「はいっ?!」


あいちゃんは、窓側の席を若干睨みながらそう言う。



あいちゃんの目線の先には、私の作った弁当を食べてる松下くんがいた。



「いいわけないじゃん…」


「ふーん。じゃあいいじゃん。大貴くんといい感じになったって」


「んー…」



今までずっと男女関係なく友達と思っていた大貴をいきなり男の子としてみるなんて…大貴がそんな風に私を見てたとしてもおんなじようにできるかどうか…。



って言うか…。


目の前のあいちゃんをチラッとみると、まだ松下くんのことを睨んでいた。



あいちゃんって…こんなに松下くんのこと嫌いだったかな?



「ねぇ、あいちゃ…」

「祐実」

「は、はいっ」


突然あいちゃんが低い声で私の名前を呼ぶので、思わず背筋をピンとして返事をする。



「…大貴くんと祐実が今後どうするかは2人の問題だけどさ…、あの人本当に大丈夫なの?」


「え?あの人?」


「松下くん」


「ん?」


「それ…」


あいちゃんは、私の手首を見てそう呟いた。


あいちゃんの目線の先には、昨日よりはだいぶおさまった赤い痣が見える。


「それ、彼にされたんでしょ?」


「うっ、まあ、そうだけど…」