「…これで、良かったんだよね」


大貴がいなくなったリビングのソファーにバタンと倒れてから、呟く。



『ちっちゃい時からずっと』



大貴はそう言ってたけど、全然そんな風に見えなかったよ…。


いつだって『祐実は可愛くないからな』『祐実は本当は男だもんな』なんていってガハガハ笑ってたのに。



突然、あんな風に切ない顔されちゃうと、私だってパニクっておかしくなっちゃう。



『今からでも遅くない』


それって、今からでも大貴のことを私が好きになるかもしれないってこと?



いや、さすがにそれは…。



「お、大福」


っ?!



突然、松下くんの声が聞こえたので私は慌ててソファーから起き上がって、声のした方をみる。


っ?!


「えっ!なんで?!」



そこには、私の半分かじった大福をつまんでパクッと口に入れた瞬間の松下くんがいた。