「ほんっと、美味しい。大貴は人生半分損してるよ!こんなすばらかしいものが食べられな───っ!」
っ?!
一口食べた大福を飲み込んでから話してると、大貴が突然私の口元に手を添えて来た。
「…っ、た、いき?」
驚いて声を出すけど、目の前の大貴は平然としたまま私の顎をなぞってから親指で私の唇を撫でた。
「祐実のうまそーな顔が見られるんだから、全然損してねーよ」
そういう大貴の顔はすごく優しい顔をしていて、胸がトクンとなった。
あぁ。
どうしよう。
今気付いた。
大貴、すっごく大人になってる。
大貴があんまり優しい顔をするので、私はとっさに目をそらしてしまった。
初めて見る大貴がそこにはいて、
それ以上みてはいけない気がした。
「……祐実」
「……」
彼が私を呼ぶその声に、返事をしたくないと思ったのは初めてで。



