「お、お茶でよかった?あったかいので平気?冷たいのもあるけど…」


大貴の斜め横に座るのはなんだか気が重くて、私はまたキッチンに向かおうと立ち上がる。


「あ、コーヒーもあるけど、大貴はコーヒー飲めた─────」



ガシッ



…っ!!



くるっと振り返った瞬間、腕を掴まれて私の足は歩くのをピタッとやめて、ゆっくりと大貴の方を振り向いた。



「…いいから、座って」


「……っ」


なんだか悲しそうな顔で大貴がそういうので、私まで胸がキュッと締め付けられる。



「うん」


そう言って、その場にちょこんと座った。



L字型に座る私と大貴。


真正面や隣よりも、意外とこの方が緊張するかも。


大貴が自分の太ももの上に置いた手に今力を入れたのとか、喉仏が動いたのとか、


よく見えてしまうから。



大貴の緊張は私にまでうつってしまう。



「食べて」



大貴はそう言って、目の前に置かれた大福を見る。



「あ、うん。ありがとう」


私は大福を手にとって、パクッと口に入れる。


うんま。


「んー!美味しいっ!」


餅とあずきってなんでこんなに素晴らしいコラボなの。
最高か。


心の中で、うまいうまいと叫ぶ。


いつもなら、声に出すところだけど今日はそんな雰囲気ではない。