「そーだよ。腐れ縁デート」


「はっ?!」


大貴は、いきなり横から私の腰を手で引くと、腰を引いたその手を私の頭に持っていってそう言った。


「うわっ、もう夫婦じゃーん」
「お似合いすぎ」


「いや、あの待ってちょっと違うの!」


慌てて語弊を訂正しようとする。


「何が違うの?男女が2人きりで出かけるのなんてデート以外あり得ないでしょ」

と大貴。


いやいや、森川大貴くん。
あんたはいつから男で私はいつから女だよ。
私たちは違うじゃない。


幼馴染みという腐れ縁で、男女関係なく過ごしてきたのに。

今更、そんな冗談…。

笑えない。



「…どいて」


教室の後ろで女子たちが私と大貴をヒューヒューと冷やかしていると、教室の前から低くて冷たい声が聞こえ、みんなが一斉に静かになる。



えっ…。


その声の主は、ドアの前でたまっていた男子たちにいつもより増して鋭い目を向ける松下くんだった。


あれ…あんな風に威圧的な態度する人だっけ…松下くんって。