「うぅ…もう当分カタカナ見たくない…」



松下くんがバイトから帰ってきてから彼の部屋でする最後のテスト勉強。


世界史に出てくるワードをたくさん暗記した松下くんは、テーブルに倒れこんでそう言った。


残りの教科も詰め込めるだけ詰め込んだもん。明日もきっと大丈夫だろう。


時刻は夜中の1時。


明日のテストで眠くなっちゃわないためにも、早く寝る準備をしなきゃ。



「今回のテスト勉強はここまで。できることは全部できたし、あとは自分を信じるだけだよ!松下くん!」


私は倒れこむ松下くんにそうエールを送ってから、散乱した参考書やプリントを片付ける。


「じゃ、部屋戻るね」


そう言って荷物を手に持ってから立ち上がる。


グイッ!


っ?!


ドアに向かって歩こうと振り返った瞬間、着てるスウェットパンツの端が引っ張られる感覚がしたので、松下くんの方を見る。



やっぱり…。


松下くんが顔をテーブルに置いたまま、私のスウェットパンツを引っ張っていた。