フレンチトーストも食べ終わり、やっと意識がしっかりしてきた緋山君が落ち込んでいた。
「ねぇ、僕なにかした?記憶にないんだけど。」
「えっ、な、何もしてないよ。」
ただ、タオルケットを抱いてたり、フレンチトースト食べたり、ふにゃって顔で笑ったりしただけで、と伝えるとさっきよりも落ち込んでしまった。

「はぁ、最悪。何してんの。」
「え、ごめん。」
「いや、哀川さんじゃないから。」
え?
私じゃないなら誰に謝まっているんだろう。
私じゃない誰か?
ゆ、幽霊とか!?
「ひ、緋山君は幽霊見えるの!?」
「は……?」
「え?私じゃない誰かに話してたんでしょ?」
緋山君から何言ってんの、とでも言いたげなオーラが漂ってくる。
私何も変な事言ってないよね?
「あ!ひ、秘密にしておかないといけない事だった?」
「哀川さん、僕幽霊見えないから。さっき言ったのは自分に対してだから。」
冷静に返される。
そして考えればわかるでしょ、と付け加えられた。
私の場合は考えても分からないなぁ。
「緋山君は頭いいんだね。」
「はぁ。」
「あ、お弁当作らなくちゃ!」
眞白先輩には卵焼きで焦ったから、今度は何を入れようかな。

そして作り終わった頃には出発ギリギリの時間だった。