「やぁやぁ、待ちくたびれたよ。じゃあ、食べようか。」
部長の合図でそれぞれ弁当を食べる。

「それで、緋山君。」
「はい?」
「見たんだろ?哀川君の。」
「見たって………。」
急に言われても何を見たのか言ってくれないと分からない。
「黒板だよ。」
「!まぁ、はい。」
「それで、感想は?」
「感想、ですか?」
あの黒板を見て感想だなんて、おかしな部長だ。
「別に、何も思いませんよ。」
「何も?」
「えぇ、人それぞれ好き嫌いありますし。」
「ふぅん。」
「僕は書かれても気にしないタイプです。でも、哀川さんが気にしているなら止めた方がいいと思います。」
自分の気持ちを抑え込むと後で大変なことになる。
「ははっ。君は面白いね。」
「よしっ!緋山君!みっちゃんをいじめっ子から守ってね!」
「緋山、これは先輩命令だよ。」
「命令。」
「私達上級生は階が違いますし、下級生の教室に入るのは控えなければいけないんです。」

急に言われてもね。
そういうの面倒だし。
「先輩!?緋山君!嫌だって言ってもいいからね!!!」
ほら、本人もこう言ってるから。
「哀川さんは守りませんよ。」




「ただ、気が向いたら手を貸します。」

気が向いたらだけどね。
「やっぱり君は面白い。」

そして弁当を食べ終わり、教室へ戻った。