黒板に書かれている様々な悪口。
_______________不幸女、きもい、死ね、邪魔、消えろ、人殺し
一人の字じゃない。
たくさんの人が書いたあと。
「はぁ……。」
哀川さんはこれを見せたくなくて早めに学校に行っていたんだろう。
これをなんで言わなかったのか。
言ってくれれば後から行ったのに。
単に気づいてないだけか?

_______________ガララッ。

突然教室の扉が開く。
「ひ、緋山君!見ちゃダメ!」
「哀川さん?」
焦った様子で入ってきたのは哀川さん。
理由を聞くと、黒板の落書きを忘れていたらしい。

「ごめんなさい。不快な気持ちにさせたよね……。」
「別に何も思わないけど、哀川さんはいいの?こんなこと書かれてて。」
「………もう慣れたから。」
もう慣れた、か。
「そう言ってるうちは慣れてないんだよ。」
これは僕の経験から。
慣れた、慣れた、なんて言ってるけどほんとは慣れてない。
僕もそんな経験がある。

まぁ、とりあえず……………。
「ほら、消すんでしょ。」
「う、うん!」
この黒板の落書きを消して、話は帰ってから聞こうかな。


そして、ちょうど落書きを消し終わった頃、教室に人が入ってきた。