「ねぇ、緋山君。もうテストって終わった?」
「うん。哀川さんが寝込んでる間にね。」
「じゃあ、土曜日に受けに行かないと……。」
「え、わざわざ行くの…?」
僕だったら休めたら休めたでラッキーなんだけど。
「だって、わざわざ全員分のプリントを用意してくれてる先生に申し訳なくって……。」
「……優しいんだね。」
「へっ!?わ、私が!?全然優しくないよ!周りの子がみんな優しいからその分お返ししなくちゃって。」
つい最近まで苛められてたのに、なんてことは言わない。きっと哀川さんはすぎたことは気にしなさそうだし、自分が悪かったって言うから。

「じゃあ、先に行くね!行ってきます。」
「気を付けてね。」
「うん!」
軽やかなステップで駆け出していく。それだけ学校に行きたかったのだろうか。きっと、弓景先輩とかの天文学部の先輩達や友達と会うのが楽しみなんだろう。


_______________僕にはそんな楽しみはなかった。