「……私も」

「へ?」



真っ赤な顔で見つめ、泳ぐ目を俺に合わせた。



「私もしたい」



そう言って、また目を泳がす。



『私もしたい』って。



何が?
何を?


キョトンとした顔をする俺に、もう一度、



「私も圭矢と……キスしたいよ?」



上目使いで、ピンクに染めた頬で、潤んだ瞳で、光る唇で。


“キスしたい”

なんて言っちゃ駄目だって。



「もう……知らない」

「へ? ……んん」



右側に居た雫の肩を右手で抱え込み、引き寄せキスをした。


絡まる舌が熱い。

少しの隙間から漏れる雫の甘い吐息が耳に残る。

それだけしか耳に入らない。



完全に麻痺したみたいな俺の脳。