「これ、ありがとう、京治」







金曜日。



待ちに待っていた日がやってきた。




昼休みに入るとすぐに伊織くんの所へ行くので朝一番にまずは京治の所へ行っていた。






伊織くんの彼女といっても私と伊織くんのクラスはご存知の通り階が違うので会うのは昼休みと放課後のみ。





伊織くんと1秒でも長くいるために全ての用事を昼休みまでに済ませておくのが月と金の私の基本的な動きなのだ。








「わざわざありがとう、花奈。早いね」






「まーね、今日体育あったから使うと思って」







私から体操服の入った紙袋を驚いたように受け取る京治に親指を立ててグットサインを送る。





抜かりはありません。






まぁ、昨日この体操服を着ていたのはほんの一瞬だったのだけれど。






あの後無理やり体操服を脱がされた私に伊織くんは自分の体操服を着るように渡してきた。




なので昨日着てたのはほとんど伊織くんの体操服。