本来ならば教材を入れる部分に携帯を置いて来てしまった私は、仕方なく、Uターンをして学校に戻って来たというわけだ。



え?何?間抜けだって?ほっとけ、こんちくしょー!



はあ…、と肩をガックリと落として教室まで向かう。今日は部活も休みだし、家でゆっくりしようと思ってたのにー…。



最悪だ、なんて思いながらスライド式になっている教室のドアを開けた。



「え、」

「あ。」



誰も居ないであろう教室に残っていた1人の生徒。窓が開いていたことにより、サラリと風で揺れた黒の艶やかな毛。



バチリと目が合ってしまい、無視することも出来なかった私は、「…帰ってなかったんだ。」なんとなく話しかけてみた。