「人って何を隠してるか全くわかんないね。」
見た目だけで人柄を判断すべきでないとよく言うけれど、まったくその通りだ。
パクリとお弁当箱に入ってたトマトを口の中に入れて、そんなことを思う。…今日のトマトはハズレだ。
口の中に広がった酸っぱさに、思わず顔を歪めていと、「ねえ…吉田めっちゃこっち見てるけど、何で?」朱里が、私達に聞こえるぐらいの声の大きさで、そう聞いて来た。
「さ、さあ!何でだろうねえ、あははー。」
「食べずらいね、お弁当…。」
「それな。」
「あははー…。」
吉田くん、私は絶対に誰にも言わないから。仲の良い朱里にも真帆ちんにも言わないと、神に誓います。だから、だから――…!
お弁当ぐらいゆっくり食べさせてください…!
