MAYBE TOMORROW

引っ越しの時にはここにずっとナディアがいた。


わたしにはいちどたりとも足を踏み入れることが出来なかった場所。

すぐそこなのに遠くて遠くて仕方がなかった場所。
わたしはずっとオニイチャンの部屋からこの場所を見ていたのだ。

お兄ちゃんは部屋の戸を開けて先に入る。明かりをつける。

部屋全体がオレンジ色に変わる。

「ここに座っていいよ」