MAYBE TOMORROW

「ちゃんと、歌えてた?」

「ハイ」

それは初めて聴いたときと何ら変わらない、お兄ちゃんの歌声だった。

透きとおるような、天から降ってくるような歌声。


「そう。だったらよかった」

お兄ちゃんは何も言わずにまた歩き出す。

訊きたいこと、話したいことはいっぱいあったけれど
ついにわたしはなにも訊けなかった。