MAYBE TOMORROW

そしてその日の帰り際、お店を出たところでお兄ちゃんは
ポケットから、着ていたコートの左右両方のポケットからなんだけど、
五冊の文庫本を無造作に出してわたしの手に持たせた。

それは中原中也の「山羊の歌」という詩集だった。

そしてほかにランボオ、ヴェルレーヌ、リルケ、ヴァレリー。
いずれもお兄ちゃんからまえに聞いた名前だった。

「良かったら読んでみたら、と思って持ってきた」