「ありがと。大切に読むね」
わたしは「シンソコ」うれしかった。

なぜって、これでいつも「お兄ちゃんと一緒にいること」ができる。
お兄ちゃんがいつもそばにいる。

そんな気持ちになれるから。

「かえさなくていいからね。読み終わったら、そのまま『あげる』」

「ホントに?」

「うん。だってたかが文庫本、だよ」

お兄ちゃんはそういって、いかにもたいしたもんじゃないって
ふうに笑っている。

そうしてると、玲奈がわたしの肩をツンツンとつついてきた。

そうそう、気になってるもうひとつのこと、ナマエ、だ。

わたしもなんとなくきっかけがつかめなくて
「コマッテタ」ところ。