MAYBE TOMORROW

ギターアンプの音量を確かめたようだ。客席はみんなリラックスしてる。
それはお兄ちゃんたちも一緒だ。ゼンゼン緊張してない。

「客席がいつものメンバーだから慣れてるのかな?」

そんなふうにわたしは思ってたのだけれど、
その時うしろで静かにドアのひらく気配がした。

スッーっと風が入ってきたような。

わたしはさして気にもとめなかったのだけれど、
ステージのふたりを注視してると、その「かぜ」のように感じたのは
実は人影で、それはすこし背をかがめるようにしながら
そおーっと最前列の中央の空いている席に座ったのだ。

それは「女の子」だった。

もう明かりは落ちていて店内が暗かったのと、ほとんど一瞬、
しかも横顔をおぼろげにしか見ることができなかったにもかかわらず、
わたしはそのあまりの美しさに息をのんだ。