マノンが部屋に入ってきたことに、ケイトリンは少しの間気付かなかった。マノンの手にあるトレーの上には、いつもよりも多めの朝食がのっている。それが誰のための朝食であるかは、ケイトリンにもすぐわかった。


「レ・・、あの男は?」


 思わずレイフの名前を口にしかけて、マノンは一呼吸置いた。暖炉の脇に置いていた彼の剣がなくなっている。


「出て行かれたわ。あの方、私を敵だとおっしゃったわ」


 ケイトリンは、立ち上がることもせず、レイフが出て行った窓の外を眺めた。