はやく気づけ、バカ。



(さ、部屋に帰ろ。)


そう思い、「じゃあ、お疲れ様でした。」とイケメンにサッと告げ、自分の部屋へと向かう。



カツ、カツ、カツ、


とヒールの音が廊下に響くのと一緒に、

コツ、コツ、コツ、と彼の綺麗な黒い革靴の音が鳴る。



(...部屋の方向一緒なんだな。)


そう思っている間も彼の足音は鳴り響き続ける。


(...いつ止まるんだろう。)

そう思いながら、やっと自分の部屋の前についたとき、


ピタリと、彼の足音もやんだ。