「あ、待……!!」 「もういいの…!!」 だきしめる腕に、さらに力をこめる。 まだ、怖くて震えて、言うほど力は入らないけど。 だけど、精一杯、抱きしめた。 「もうやめて、かいとくん…!!」 涙が、ほほを伝って。 「……絆奈」 私はかいとくんの胸に顔をうずめる。 お願い。 お願いだからやめて。 願いを込めてぎゅっとだきしめると。 ―――ぽん…。 優しく大きな手が、私の頭にのせられた。